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2016-03-04

生きた軌跡 生きている時間

life

生きた軌跡  生きている時間

癌を宣告されたあの日から もうすぐ2年。

今振り返ると 闘病に一区切りがついた頃、
ふと失ったものの実感が押し寄せ
張りつめていた糸が切れたことがありました。

生きているうちにこれだけはと
無心に祖母の遺品を撮り
彼女の生きた軌跡を綴じたものの
一番手にとってもらいたかった
その人には手渡すことができないという
やりきれなさも重なったのかもしれません。

 

そんな時 ふと聴き直した曲に
救われたことがありました。

闘病中は副作用に耐えるばかりで
曲を聴くこともできなかったけれど、
何ヶ月ぶりかに手にとった
ウォークマンから流れたとある歌詞に
一歩踏み出す力をもらい、
自分も作り手として 手にとった人に
何かを贈ることができる本をつくろうと
掌の記憶をはじめるようになりました。

 

人の生を本に綴じる。
とても繊細で複雑な行為ですが、

写真におさめることで 見つめられるもの。
言葉に紡ぐうちに 整理がつくこと。
本に綴じることで 見えてくるもの。
受け入れられることもあるなぁと。

とにかく本を綴じるという行為と
綴じた本に救われた2年でした。

 

だからこそ もし同じように
本を必要とする人と出会った時に
共に時を過ごし 綴じた1冊を贈りたい。

生きた軌跡を綴じる本から
生きている時間を贈る本へ。

ふとした時に 過去の記憶や今を見つめ
未来へと続くみちしるべとなるように

これからは生きている時間を
掌から掌へ 贈りつづけようと思います。

*祖母の命日に寄せて

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