NHK WORLD「Kawaii International」放送

michi-siruveの制作したZINEが、NHK WORLD「Kawaii International」の特集「Next-Gen Magazines: These Are ZINEs!」で紹介されます。

日本のカワイイ・カルチャー情報を世界に向け発信し続けて、100話近くになるという番組。エピソード95が日本のZINEの特集だそうです。

数あるZINEの一つとして紹介される形なので、映るのはほんのちょこっとかなと思うのですが。「ZINE」というフィールドではかなり隅っこの、大阪の片隅の小さな机の上で一人でコツコツ手製本している、大半が1~2冊の非売品というmichi-siruveのZINEをよく見つけて、なおかつそこに関心をもってお声がけくださったなぁと。

紹介されるZINEの内容などは放送までお伝えできませんが、そのZINEを選んでくださったことも含めて嬉しいご依頼でした。放送は英語ですが、日本からもインターネットで視聴できるそうです。michi-siruveのZINEが英語でどんな風に海外へ紹介されるのか、一緒に見守っていただけたら嬉しいです。

NHK WORLD(※海外向けのNHKチャンネル、全編英語放送)におけるライブストリーミング放送で日本でも視聴が可能です。
※放送の視聴について
NHK WORLDホームページ
国内ではオンラインでのストリーミング視聴が可能となっておりますので、放送時間に上記URLにアクセス頂き、サイト右上の「Live」という部分をクリックして頂ければご視聴頂けます。
Live配信ページ
上記のURL先からですと直接Live配信ページに行くことが可能です。
※見逃し視聴サービスについて
本放送日終了後から、オンデマンドサービスにより番組ホームページでも視聴が可能となります。
Kawaii Internationalホームページ
トップページ上に写真サムネールがあり、その中にムラサキ色の再生マークがあります。「VIDEO ARCHIVE」となっており、サムネールをクリックしていただけると視聴ページに繋がります。パソコンはもちろん、スマートフォンでも視聴が可能です。
※端末により視聴できない可能性がございます。

ご案内は以上で、ここからは出演に際した想いを少しだけ。今回の出演、michi-siruveとしては本当に嬉しいお声がけでした。

そもそも4年半前にわたしが「大切な記憶を手製本に綴じる」という活動をはじめたのは、わたしのがん闘病中に他界した祖母の遺品と記憶を綴じるためでした。その時、ひそかに決めていたのが「がん」や「遺品」「大切な記憶」という言葉とはまったく関係なく、家族以外の人が手にとった時にも、ただ1冊の手製本として「何かカワイイ!」とか「持ち帰りたい」と感じてもらえる“モノ”として整えて置く。ということてした。

亡き祖母の遺品や記憶とともにあるかなしい感情を、ただ「かなしい」のまま綴じない。生きているうちにもっと色々してあげられたんじゃないかという後悔の気持ちも、ただ「くやしい」のまま綴じない。その感情は素直に表現して綴じこめるけれど、読み手に届く手触りも、見た目も、ことばの響きも、あたたかくて余白があって、読み手の記憶も重ねられるものがいい。

何より「かわいいね」「装丁面白いね」と、カジュアルに触れてもらえるかたちがいいな。でもよくよく覗きこんでみると、とても個人的、かつ繊細で切実な部分に触れることもできる。できれば、読み手の人の心の奥にある繊細な記憶と響きあうようなひとかけらが綴じこめられたらいいな。

そんな気持ちで、祖母の遺品を綴じた『otomo.』からはじまり、そのうちに大切な記憶を預かり豆本にして贈る『掌の記憶』をはじめたり、がんの記憶も『ココロイシ』や『汀の虹』というかたちで経験をひらいたり。国内外のアートブック好きが集まる「THE TOKYO ART BOOK FAIR」や高校や大学、ある時は神社の市、病院、書店など……文化も年代も、抱えているものも異なる方々に触れてもらえる場所で継続してZINEを手渡し、本から生まれる声を聴く活動を続けてきました。

お洒落な学生さんが「へー!昭和ってお洒落!」「和紙って案外ちゃんと表現できるんだ」「カワイイ!」と目をキラキラさせながらZINEに綴じたとても個人的な記憶の欠片を旅してくれたり。そもそも日本語が読めないという海外の書店員さんが「この古道具は何?」「どうやって作ったの?」「非売品?いや売ってよ!」とものすごく熱心に見てくれたり。

とても個人的に制作され、一人のために贈った手製本に、ただ「ZINE」として触れて、中にあるものをカワイイとか、本のかたちが面白いと楽しんでもらえることは、経験の有無で生まれる隔たりをゆるやかにつなげるために必要なことだと思うのです。

そうやって「なんとなく触れる」が続いてつながって「よく触れる」になって。なんとなく出会ったわたしが若いがん経験者で、それからずっと友人知人として関係が続いていって。少しずつでも、大切な記憶を自分で綴じたり、誰かに預けて綴じてもらったりという行為が、病気などの「失う」という経験の前後に気持ちを整理するための選択肢の一つとして当たり前に在るようにになったらいいなと。

それが、社会福祉を学び、メディア制作の現場を巡り、患者や家族としてさまざまな経験をしてきたわたしがあえて「ZINE」というDIYなコミュニケーションカルチャーをフィールドに選び「ZINE作家(いわゆるzinester)」を肩書きにして活動している理由でもあります。

だからこそ、NHK WORLDというメディアの日本のポップカルチャーを紹介するという番組で、ただZINEとして紹介してもらえるというのがとっても嬉しいです。紹介していただくZINEについても思い入れがたくさんあるので、放送後にまた文章を置かせていただきたいなと思っています。長文読んでくださったみなさま、ありがとうございました。

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